コロナ禍で導入された「学生支援緊急給付金」から朝鮮大学校の学生が不当に排除されている問題について、大学教職員の立場から発表される共同声明が、賛同者を募っています。
大学教職員の方はご賛同を、また該当されない方は関心のある方にお伝えいただければと存じます。
賛同募集期間(第1次)は、8月5日(水)~16日(日)とし、その後記者発表することを予定しています。
下記の声明に賛同してくださる方は、次のフォームから賛同の手続きをお願いします。
https://forms.gle/23wc246rj8yeXLPB9
また、この声明についての最新情報は下記のブログおよびFacebookで発信します。ご不明の点は声明事務局までお問い合わせください。どうか、よろしくお願い申し上げます。
【ブログ】 https://ksubsidy.blogspot.com/
【Facebookページ】 https://www.facebook.com/ksubsidy/
【問い合わせ先】 声明事務局 ksubsidy@gmail.com
朝鮮大学校の学生に「学生支援緊急給付金」の公平な給付を求める大学教職員声明
文部科学省は、5月19日、新型コロナウィルス感染症がもたらした負の影響(以下「コロナ禍」)で困窮する学生への支援策として「「学びの継続」のための『学生支援緊急給付金』」(以下「給付金」)の創設を発表しました。コロナ禍により生活が困窮した学生に対して速やかに現金を給付することで、「学びの継続」を後押ししようとする本施策の基本精神は歓迎すべきものです。
しかしながら、この「給付金」制度には、「学びの継続」を支援する学生に不当なフィルターがかけられています。外国人留学生のみに「学業成績が優秀である者」との要件が課せられたことは、メディアでも大きく取り上げられてきたところです。その問題に加え、私たちは、高等教育機関で教育に携わる者として、朝鮮大学校(東京都)がこの制度から完全に排除されていることを、看過することができません。
在日朝鮮人の学生が学ぶ朝鮮大学校には、これまでにも日本政府の差別的な政策のために各種の助成金や奨学金の制度が適用されてきませんでした。そのような制度的な格差の結果、朝鮮大学校の学生本人や家庭は、以前から、「学びの継続」のために多大なる負担を強いられてきました。そこに訪れた今年のコロナ禍は、家計の急変や学生本人のアルバイト収入の激減など、学びの環境をさらに揺るがすことになりました。もともと存在する制度的格差と、コロナ禍に加え、日本政府はさらなる「学びの格差」を朝鮮大学校の学生たちに加えるのでしょうか。
5月以来、朝鮮大学校の教員・学生代表や市民団体は、この新たな格差を是正すべく、さまざまな要請を繰り返してきましたが、文部科学省は、朝鮮大学校が各種学校であり、高等教育機関としての確認が取れていないとの理由で拒否してきました。
しかし、朝鮮大学校の卒業生は、国公私立大学の大学院から入学資格が認められてきましたし、旧司法試験の第一次試験免除のほか、税理士、社会保険労務士、社会福祉士、保育士などの受験資格も認められてきました。そうした事実だけからも、朝鮮大学校が高等教育機関として社会的に認知されていることは明らかです。
そもそも今回の「給付金」は多様な「学びの継続」を支援するもので、大学・短大・高専のような「一条校」(学校教育法第一条に規定する学校)だけではなく、専門学校のような「専修学校」も対象に含めています。さらには、株式会社・財団法人・個人などが設置した日本語教育機関や、外国大学の日本校も支援対象としています。なかには高等教育機関でないものや、学校教育法の認可外の教育機関まで含まれます。これだけ多様な形態および教育内容をもつ教育機関を支援対象としているのに、東京都から各種学校として認可を受け、半世紀以上の教育活動実績をもっている朝鮮大学校を除外するのは全く筋が通らず、意図的な政治的排除だと言わざるを得ません。
いまコロナ禍のなかで、学びを継続しうるか否かは、学生個々人の人生を大きく左右します。高等教育での「学びの継続」を謳う本施策において、公平性を欠いた政府の恣意的な線引きによって、学生たちのチャンスを摘み取ってしまってよいのでしょうか。
同じく学生に向き合う大学教職員として、私たちは、朝鮮大学校の学生の将来が今回の不公平な施策によって狭められてしまうことに強く反対します。定住外国人のための唯一の高等教育機関である朝鮮大学校だけが、この制度から外されていることは、日本が締約国となっている人種差別撤廃条約、自由権規約および社会権規約にも違反します。
以上の点から、私たちは、朝鮮大学校の学生にも「給付金」が公平に支給されるよう強く求めます。また、給付金の推薦の締切日以後も、猶予期間を設け、要件を満たす朝鮮大学校の学生には遡及的に給付金を支給するよう求めます。
呼びかけ人一覧 50音順(8月4日時点)
庵逧 由香(立命館大学)
板垣 竜太(同志社大学)
伊地知 紀子(大阪市立大学)
宇野田 尚哉(大阪大学)
魁生 由美子(愛媛大学)
加藤 圭木(一橋大学)
河 かおる(滋賀県立大学)
北村 嘉恵(北海道大学)
小林 知子(福岡教育大学)
駒込 武(京都大学)
杉山 精一(神戸市外国語大学)
高谷 幸(大阪大学)
田中 宏(一橋大学・名誉教授)
外村 大(東京大学)
西倉 実季(和歌山大学)
樋浦 郷子(国立歴史民俗学博物館)
藤井 豪(東京外国語大学)
藤永 壯(大阪産業大学)
山本 かほり(愛知県立大学)
山本 崇記(静岡大学)
吉澤 文寿(新潟国際情報大学)
米田 俊彦(お茶の水女子大学)